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【上大崎】
「ったく、ここはいつでも辛気臭いよ。
おい、もう夕飯の時間――」
【上大崎】
「あーーーーーーーーーーーッ?!」
【天現時橋】
「うるさい……、? っ!?」

【四谷】
「ふふ、良く寝ていた。
人間とは斯くも無防備に寝顔をさらすことが出来るのだな」

【天現時橋】
「……別に、来るって知っていれば起きてましたよ」

【上大崎】
「っ、っ、な、何してたの!」

【四谷】
「うん? 何……寝こみを襲っていただけだ」

【天現時橋】
「いや、別に襲われていたわけじゃ」

【上大崎】
「まったく君は鈍いんだから!
どうでもいいけど、離れろよもう!」

【天現寺橋】
「なんで僕がけなされるかな」

【四谷】
「羽織役に向かって何だ?
まったく、生意気な小僧め」

【天現寺橋】
「すいませんねぇ、煩くて」

無表情で謝罪を口にした。
まだ眠くて表情を作るまでには至らない。

一般的に妖の纏め役は羽織と言われ、
この新宿には四谷――つまりこの目の前の男が
羽織役として長く君臨している。

分かりやすく言えば、この新宿では誰よりも強い――。

【上大崎】
「なんで君は冷静なんだよ! 焦るとかないの!」

【天現時橋】
「いや、流石に驚いている」

【上大崎】
「驚いてる人間の口調じゃないよ!!
昨日のことが気になって来てみれば何!
この惨状!」

【四谷】
「惨状とは失敬な。呼ばれたのだから
この程度のことは普通だろう」

【上大崎】
「ベッドルームに呼ばれたって言うのかい!」

【四谷】
「無論……」

【上大崎】
「なんだって!?」

そこでやっと意識が明確になったのか、
天現時橋が気づいたようにため息をついた。

【天現時橋】
「寝室には招待してませんよ。
確かに四谷様は別件でお呼びしたが……
上大崎、お前はどうした?」

そう、天現寺橋が呼んだのはこの妖だった。
だのになぜ同じ陰陽師である上大崎がいるのか?

【上大崎】
「え、いや……昨日、君が力を使ったのがわかったから。
疲れてるだろうと思って……」

【四谷】
「なんだ、馬鹿にしに来たようだぞ?
性質が悪い男と付き合うのはやめた方が良いのでは?」

【上大崎】
「違うよ! もう、なんであんたがそうやって
絡んでくるんだよ!」

噴火しそうな上大崎を止めたのは、当事者の天現寺橋ではなく
式神のバサラであった。

【バサラ】
「センセイごめんねー。とりあえずお二人とも、
コーヒー入れましたからリビングへどーぞー。
センセイも来てねー?」

【上大崎】
「……ッ」

【四谷】
「残念だが、私もリビングで待とうか。
珈琲は嫌いではないのでね」

【天現時橋】
「色々すいませんね。……ほら、上大崎も。
着替えが見たいなら居れば良いけど」

怒りがついに天現時橋に向かったのか、
ふんとかぶりを振る。

【上大崎】
「バサラっ、この買ってきたアイス冷凍庫に
入れておいてよ!」

目線も合わせず上大崎は出て行く。

【バサラ】
「わっ、とけちゃうとけちゃう!!
急いで冷やさなきゃー」

押し付けられた買い物袋を慌てて受け取る。
どうやら中身はいつものカップアイスと棒アイスの様だった。


【天現寺橋】
「清い御霊になって、次の世でまた彼女と生まれ変わるといいね。
そう思う僕は愚かかな、バサラ」
【バサラ】
「いいえ、ちっとも。センセイって優しいんですね」

【天現時橋】
「さあ……どうだろうねえ」

【バサラ】
「なんかボク、もっとセンセイが好きになりそう……」

【天現時橋】
「おやおや……」

バサラは美少年の姿に変わると、
両の手で天現寺橋の頬を包み込み、その顔に影を落とす。
少しだけ、歯が当たった気がした。

【天現寺橋】
「ん……」

やはり人間とは違って冷たく、
でも人間と同じで、肉欲的な唇を受け止める。

【バサラ】
「……はぁ、せんせ、もっと……」

【天現寺橋】
「仕方がないねぇ」

駄々っ子のようなバサラの頭を撫でると、
自分からキスを送る。
バサラが一瞬目を見開き、その後嬉しそうに微笑んだ。

珍しくご褒美をくれる主を愛しいと、
バサラは何度も艶やかに濡れた唇を貪り、
天現寺橋はそれに応える。

【天現寺橋】
(――初めての時は、
心臓がバクバク打っていたような気がするんだけどね)

今にも破裂して、血が噴き出してしまいそうな心臓が、
とても煩わしかったのを憶えている。

でも、今はこれくらいじゃ心臓は綺麗なままで、
規則的に音をたてている。

【天現寺橋】
(……まぁ、そんなことどうでもいいか)

今は、ただバサラの想いを受け止めよう。
可愛くて愛おしい、自分だけの従順な式神。

人とのそれとは違って、抱きしめ合う体に熱はないが、
自分の体温と溶け合えば、ぬるく温かい。

触れた先から流れる温もりに、心地よさを感じる。

その感覚に身を預けるように、
天現寺橋は、そっと瞼を下した。

【天現寺橋】
「う、わっ」
【上大崎】
「おっと……」
突然のことに思わず声を荒げ、後ずさる。
バランスを崩しよろけた体を上大崎が支えた。
ぐっ、と腕を強く引っ張られ、そしてすぐに離される。
【上大崎】
「大丈夫?」
【天現寺橋】
「……、ああ大丈夫……、――ッ」
顔を顰めたまま視線をあげると、
至近距離で上大崎の眸が重なり息を呑む。
上大崎の己を食い入るように見つめる眸に、
天現寺橋はほんの僅かだが、戸惑う。
それでも平静さを装って体勢を整えた。
【天現寺橋】
「……離れろよ、近い」
【上大崎】
「はいはい。助けてあげたのに酷いなー……」
そう言って隣に軽くずれるが、
先刻よりもずっと身体は近づき、密着している。
腕が触れ合う距離、骨がコツンと鳴った。
目を眇め見つめると上大崎が微笑んだ。
【上大崎】
「…………」
【天現寺橋】
「……なんだよ?」
【上大崎】
「ねえ……なんか、こういうシチュエーションてさ、
人を興奮させるよ、ね……」
【天現寺橋】
「は? きみは何言って……――え」
刹那、耳朶に息を吹き込まれた。
【天現寺橋】
「……ッ、……!!」
【上大崎】
「――驚いた?」
虚を突かれ、天現寺橋は大きく瞠る。
その瞳は動揺に色づき、揺れていた。
しかし、それも一瞬のこと。
すぐに表情を殺すと、
氷点下零度の凍りついた視線を上大崎に向けた。
【天現寺橋】
「……冗談は程々にしないと、僕も怒るよ」
密着した身体を押し返すと、空いた隙間に風が流れた。
それをまた埋めるようにして上大崎が近づく。
天現寺橋の華奢な体が、ほんの少し強張った。
【上大崎】
「冗談じゃないって言ったら、きみはどうするの?」
【天現寺橋】
「はぁ?」
【上大崎】
「本気だって僕が言ったら……、
きみはどんな答えをくれるのかな?」
悪戯の計画を立てる子供のように、耳元で囁く。
吐息が頬にかかり、むず痒い。
静かに小さく、
けれども逃れられない圧倒的な質量感と熱。
【天現寺橋】
「っ」
陶然とした眩暈の中、やはり酷い冗談だと、
天現寺橋は苦々しい面持ちになる。
ひとつ息を吸い、
騒ぐ胸を宥めようとするが収まらない。
天現寺橋は、自分が酷く動揺しているのが分かった。

【目黒】
「全く、どこまでも甘ぇんだよな。お前」
【天現寺橋】
「離せっ……!!」
髪を引っ張ったまま右腕を背中で拘束される。
痛みに歯を食いしばると、目黒がくつくつと笑った。
【目黒】
「ああ、やっぱお前はそういう方がいい。
飄々としている奴ほど、苦痛に歪む顔はたまらねぇ」
【目黒】
「殺ったばっかりだし……ますます身体が興奮する」
耳元でささやかれる声に何かが疼く。
――僕はこんな時に何を――。
【天現寺橋】
「……オカズが僕とはあんたも隅におけないね。
そっちの趣味がおありかい?」
【目黒】
「はっ、ふざけんな」
【天現寺橋】
「わからないよ。
馬鹿にしている奴ほど、ハマる人間が多い」
振り放そうと体を捩るが、
目黒は更に力を加えて押さえつけた。
【目黒】
「あいつを俺に殺させておいて
口だけは達者なやつだな。相変わらず」
悪魔の歯を首筋に突き立てられ、
肉が破ける鈍い痛みが走った。
【天現寺橋】
「っ――!
きみの力を借りたことは事実だ。
その事に関してだけは礼を言うよ」
【目黒】
「……そんなに人がいいと、
そのうち妖に食われちまうぜ?
もっと残忍にいかねぇとな」
見つめられた瞳に、血の紅が滲んでいた。

【四谷】
「私のお気に入りを傷ものにするとは、
随分と威勢のいいことだねえ……なあ、そこの妖よ」
悠然とした声。一言紡ぐ度に空気が冷たく沈んでいく。
言葉が刃になって蜥蜴の喉元に突き刺さる。
蜥蜴の肩がびくり、と震えた。
【四谷】
「ふむ」
四谷は蜥蜴から視線を外すと、
天現寺橋に歩み寄り聊か乱暴に顎を掴んだ。
裂けた頬を自分の方に引き上げる。
【四谷】
「……血だ」
天現寺橋は反射的に身を竦めるが、
四谷はわざと傷口を触診するように指を動かした。
押すようになぞるように、それでいて繊細な動きで検分していく。
【天現寺橋】
「あ……」
痛痒くて、長い睫毛を伏せた。
【四谷】
「痛いのか?」
【天現寺橋】
「……まあ、それなりにね」
【四谷】
「そうか」
笑う四谷の相槌に奇妙な含みを感じ、
怪訝な気分を隠さぬままに天現寺橋は見遣った。
しかし、それすら四谷の嗜虐心を煽るのか。
心底可笑しそうにしている。
そして唐突に、赤く伸びた舌で傷口を触れた。
【天現寺橋】
「――――」
背筋に鋭く冷たいものが走る。
【天現寺橋】
「な……」
返答に窮していると、唇を塞がれた。
【四谷】
「動くな。治癒の途中だ……」
四谷は舌先を尖らせ、
指でしたように傷の割れ目を辿る。
細く裂けた箇所をあおるように、唾液で濡らしていく。
【天現寺橋】
「四谷、きみは治癒力など持たないはずだが……」
【四谷】
「さしたる問題ではないだろう」
【天現寺橋】
「…………まあ、きみがそう思うならいいよ」
どちらかといえば毒を混入しそうな相手に、
天現寺橋は諦めたように嘆息した。
抵抗するだけ無駄だというもの。
羽織様の好きなようにすればいいと、身を任した。
【四谷】
「ん………」
口淫にも似た動きに、じわり、と血が滲み出す。

【上大崎】
「んっ……、あれ……天現寺、橋……?」

意識が浮上した上大崎が瞼を押し上げると、いつの間にか天現寺橋がぴったりとくっついている。
夢現の幻かと疑ったが、どうやら現実のようで、体温がじわりと布越しにも伝わる。
眸が重なると、天現寺橋は微笑んだ。
【天現寺橋】
「ああ、起こしてしまったか……」
熱い手で頬に触れられなぞられる。
上大崎は小さく息と動揺を飲み込んだ。
【上大崎】
「……きみ、まだ起きてたの……?」
【天現寺橋】
「……ああ、眠れなくてな……。でも、きみが起きたなら丁度良い……付き合ってくれ」
【上大崎】
「――――え」
するりと、寄り添うようにして伸ばされた天現寺橋の手は、上大崎の胸を撫でた。
薄く浮かんだ肋骨や、滑らかな肌の感触が心地良いのか、天現寺橋は妖艶に微笑む。
【天現寺橋】
「……少し体をうごかせば寝られるかもしれない」
【上大崎】
「な……ッ、……」
途端、今までぼんやりしていた意識が急速に覚醒する。
指先の冷たい感触に目を細めた。
【上大崎】
「な、何やってるの天現寺橋……、離れ……ッ」
【天現寺橋】
「……静かにしろ。煩くすると、誰かが来てしまうかもしれないよ……」
【上大崎】
「で、でも……、あ…………」
天現寺橋の指が上大崎の腰へと這う。
唇がやけに艶めかしく、ぞくっとするような嬌態をみせる。
【上大崎】
「だ、駄目だよ……」
【天現寺橋】
「……そうか? 此処は、そんなに嫌そうではないが……」
此処、と言いながら擦られる場所は、確かに硬度を増していた。
【上大崎】
「ッ……、……」
煽られて、思わず目を瞑り息を飲む。
まだ若い塊は欲望も露で、快感に正直だ。
睡眠よる生理現象に相俟って、情けないことに摩られただけで昂ぶってしまった。

【天現寺橋】
「付き合って、くれるよな……上大崎……」
天現寺橋は身体を動かすと身体を傾け、頬に口づけを落とす。
柔らかい唇の感触、そして皮膚の上を独立した生き物のように動く舌先を感じる。
眸が近く、唇はひたすらに官能的だ。
上大崎は自身のどこかが疼くのが分かった。
【上大崎】
「……ぁ、……天現寺橋……」
息が乱れ顎が上がる。
最早、上大崎の性器は完全に勃ち上がり、天現寺橋の掌を押し上げている。
【天現寺橋】
「……僕も今日は何だか寂しくてな……慰めてくれ」
敏感な部分を、指の腹で嬲るようにして弄られる。
刺激を与えられる度、起立は硬度を増していく。
【上大崎】
「ふっ……、……駄目、だって……」
身体中の血液が一点に集中し、沸騰していくようだ。
このままでは自制が利かなくなる。
【天現寺橋】
「本当はこうされて嬉しいくせに、痩せ我慢するな。
僕の事を好きなんだろう? だったら――……」
【上大崎】
「っ……!?」
その一言に、ふいに上大崎は冷静になる。
思わず、天現寺橋の体を押し返した。
…………、
すぅと熱が引いていくのが分かる。

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【目黒】
「なかなかご立派なもんをお持ちで」
覗きこんで、からからと笑う。
布をぐっとまくり、尻が顕になった。
包むようにして手のひらで触られる。
【天現寺橋】
「っ、ぐっ……!!」
感触を愉しむように何度か揉むが、すぐに飽きたようだった。
【目黒】
「へぇ、意外と柔らけぇんだな。 ここも使い慣れてるみてぇだし」
【天現寺橋】
「言っただろ……ハマるって」
【目黒】
「くくっ……そうかい、それじゃあ名器ってやつを堪能させてもらうよ」
足が八の字に開かれる。
目黒の表情が見えなくてもわかる。
双丘の割れ目の部分――後孔に視線が注がれていることを。
躊躇いもなく指先が菊門の入口に触れ、皺のひとつひとつを確かめるように撫でる。
【天現寺橋】
「……んぁ……っ」
指が上下左右動く度にひくんと身体が跳ねる。
目黒相手は初めてのはずだ。
なのに彼の指は天現寺橋が悦ぶ場所を全て把握しているように内部を動きまわる。
人差指と中指でぐっと後孔が広げられる。
【天現寺橋】
「――、っあ……!!」
【目黒】
「へぇ……えっろいな」
鋭い爪が肉を抉るだけで、身体は与えられる快楽に従順になっていく。
【目黒】
「ホント、女みてぇだな。 すっかり開発されてやがる」
【天現寺橋】
「ふ――、っぐ……」
食いしばる歯から涎が垂れる。
無数に床に散らばった液体が、先走りなのか汗なのか最早わからなかった。
虚ろな瞳で俯いていると、髪をおもいっきり掴まれて上を向かされた。
【目黒】
「ぼんやりしてんじゃねぇよ。 これからメインだろうが」
【天現寺橋】
「は、……っは……――」
返事をすることはできなかった。
反応の無さにつまらなそうな舌打ちが聞こえる。
目黒の指が引き抜かれ、己の鼓動と息遣いの合間に、布が擦れる音が聞こえた。
微熱を持った肌がひたりと重なった。
【目黒】
「生で問題ねぇよな? おまえ男だし」
【天現寺橋】
「やめ、ろ……」
【目黒】
「生で中出し……そっちの方が善いんだろ?」
【天現寺橋】
「っ……あ、ああ……なか……」
喉がゆっくり上下する。
尻肉の間に挟まれた熱の大きさに、胸が熱くなる。
今からこれが中に入る――。
絶望する心と期待する身体。
相反するものが鬩ぎ合い、自分が何処かへ行ってしまう。
【目黒】
「俺も久しぶりだからな。 存分に発散させてもらうぜ」
【天現寺橋】
「―――っく、あ……あああっ!!」
指で慣らされたとはいえ、潤滑剤も何も使わずに挿入される痛みに喉が仰け反る。
だが、麻酔した身体にはその痛みがすぐに快感へ変わるのだ。
【目黒】
「は――……きつ……やべぇな……っ、」
【天現寺橋】
「あ、あ、あっ……もう、やめっ……」
【目黒】
「くくくっ……ホント、奥まで入るのな。 お前の言うとおりだ。これはハマる」
【天現寺橋】
「は、あ……あぁっ、あ……は……、っ……」
【目黒】
「欲しかったもんをぶち込んでやってんだ。泣きわめいて悦べよ、――おら、っ」
【天現寺橋】
「あ、あああっ、あ、
……ひ、……んぅ、……あっ!」
いっそ、荒々しい口付けで唇を塞いで欲しい。
そうすれば飼い慣らされたような甘い声を出さずに済むのに。
【目黒】
「いいぜ、ほら、俺も満足させてくれよ。ここ、もっと締めろ」
咥え込んでいる入口を親指でなぞる。
【天現寺橋】
「んっ……ん、んっ」
俯いた顔。
視界の端に、気を失ったままの幼馴染がいた。
【目黒】
「こいつも気絶してるんだ。遠慮することねぇだろ」
【目黒】
「それともあれか。お前の喘ぎ声で目が覚めちまうかもしれねぇな?」
【天現寺橋】
「は……はぁっ……ぁ、んっ……」
【目黒】
「死んでるわけじゃねぇんだ。奴にも聞かせてやれよ」
歯を食いしばり、耐える。
無理やり犯されてる姿を見せたくない。
こんな声を聞かせる訳にはいかない――聞かせたくない。
【目黒】
「お前、本当は妖を封印するどころか、こうやって身体売ってんじゃないのか?
これで大人しくなってくださいってな、ハハハ」
【天現寺橋】
「んぅっ……ん、んぁ……あ……」
【目黒】
「人間じゃ飽きたらず、妖にも足開いて……同じ陰陽師とは思えねぇ堕落ぶりだ」
【天現寺橋】
「僕が穢らしい……か?」
【目黒】
「……」
【天現寺橋】
「けれど、穢れた僕を抱いて興奮しているのは、どこの誰だい?」
【目黒】
「っ……言うじゃねぇか」
指がきつく食い込むほどに尻を思い切り掴んで、腰を最奥まで押し進めた。
簡単に煽られる目黒も冷静ではなかった。
さらりと受け流す様子もみせない。
それ程、彼にも余裕がなかったのかもしれない。

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【天現寺橋】
「ん……」
【四谷】
「苦しいか」
【天現寺橋】
「……ああ、情けないが少しばかりね……」
【四谷】
「……確かに随分と蛇が暴れ、はしゃいでいるようだな。
辛いならば式でも使って私を呼べばよかっただろう……」
【天現寺橋】
「……ああ、そうだったね。気付かなかったよ」
無論、それは偽りだった。
呪詛に蝕まれた天現寺橋には、
もう式を打つ力すら身体に残っていない。
【四谷】
「……」
天現寺橋の嘘など分かっているのだろう。
四谷は何も言わず眉を顰めると、
愛おしげに天現寺橋の髪を梳くようにして撫でる。
耳の後ろにそっと口づけてきた。
【四谷】
「今、楽にしてやろう」
ぴちゃ、と卑猥な音をわざと立たせ、
淫蕩な舌が潜り込んでくる。
しっとりと冷たく、重みのあるキスに目を瞑った。
【天現寺橋】
「ん、……ぁ、……」
いつも以上に優しく甘く啜られ、背筋がぶるっと震える。
【四谷】
「ふ、……、…………」
壊さないよう慈しんで。
今日は随分と情のある口付けだった。
いつもより丹念に舌を搦め捕り吸い上げて、
口内を這い、舐めるように疼かせる。
四谷は丁寧に天現寺橋を蝕む呪詛を誘い出し、
自らに取り込んでいく。
いつになく甘く蕩けた雰囲気に頭の芯が持って行かれそうだ……。
【天現寺橋】
「ん、……ふ、はっ……」
つうっ、と唾液が下顎に真っ直ぐ伝い落ちる。
呪詛を吸い取って貰うだけの行為なのに、
痺れるような快感が天現寺橋の身体を巡った。
【天現寺橋】
「ん、ん、ん……ッ、ぁ――」
口淫の動きに煽られるように、
呪詛は天現寺橋の喉を介して四谷の身体に流れていく。
四谷は、吸い取った呪詛を嚥下した。
それに会わせて、熱や痛みといった、
天現寺橋を蝕んでいた存在が引いていくのが分かる。
回復とは程遠く、気怠さも多少残ってはいるが、
それでも皮膚を蔽う不愉快さは拭え、呼吸が楽になった。
【四谷】
「……これで幾分かは復しただろう」
四谷は名残惜しそうに、唇の表面を己のそれで撫で合わせる。
天現寺橋は返事をする代わりに頷いた。
しかし、どこかまだ身体が気怠い。
そんな天現寺橋の惑いも、四谷は全て察しているようで、
髪を撫で慰めを施した。
【四谷】
「ふむ……、どうやら此方にも呪詛が回っているようだな……」
四谷は下肢に手を這わせ、
掻き分けるように着物の下へ入り込んだ。
汗で湿った茂みに指先が触れ、そこに浮かぶ印をなぞる。
【天現寺橋】
「ぁ……」
刹那、呪詛が、本物の蛇のようにうねり動く。
苦痛と、それに伴う甘い疼きが天現寺橋の身体を巡った。
四谷の指が下肢を蠢く蛇紋を辿る度に、
どうしようもない期待感が込み上げてくる。
愛おしそうな、切なそうな眸に魅入られて息を飲んだ。
バサラの時とは違い、心も体も四谷を拒む事が出来ない。
【天現寺橋】
「……あっ、待……四谷……」
息を切らして天現寺橋が身を捩っても、
四谷の長くしなやかな指は、天現寺橋の下肢を捉える。
天現寺橋の茎は、それを待ちわびていたように反応する。
脚の間から、体中に甘い感覚が走った。
柔く扱かれると、忘れていたはずの情欲が舞い戻ってくる。
意識すると止まらない。下肢がはしたなく震えてしまう。
【天現寺橋】
「……ん……ッ、ぁ……」
煽情的な愛撫に応えて、ゆっくりそそり立つ。
身体の火照りは収りようもない。
【四谷】
「何だ。溜まっていたのは呪詛だけではないのか」
揶揄うように口角を上げる四谷に、頬が上気した。
亀頭を掌に包まれると、甘ったるい息が漏れる。
【天現寺橋】
「ふ、ぅ……ん……」
甘い感覚に小さく喘ぐと、虚ろに眉根を寄せた。
羞恥心に止めろと云いたいのに、快感が勝る。
感じやすい雁首の括れを擦られ、
押し退けようとする手から力が抜けてしまう。
四谷の手が緩急をつけ、屹立を押し上げる。
尿道に爪を立てられた瞬間、ぶわ、と這い上がった快感に身悶えた。
鈴口に泪のように浮かぶ透明な先走りを、
四谷は親指で軽く押す。
くちゅ、と卑猥な水音とともに、いやらしく糸が引いた。
【四谷】
「……触るだけでこんなに蜜を溢れさせて、
あの式にもさせてないのかい?」
【天現寺橋】
「え、……?」
式とは勿論、バサラの事だろう。
何故四谷がそんな質問をするのか理解出来なかったが、
していないのは事実なので頷く。
【四谷】
「そうか」
天現寺橋の反応に満足したのだろうか。
いつもは鋭い双眸の四谷だったが、安堵の色を浮かべたように
天現寺橋には、見えた。
そして、すぐにいやらしく嗤った。
【四谷】
「ならば、呪詛の解読のついでだ。たっぷりと可愛がってやろう……」

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【バサラ】
「……耳、感じるんですか?」
【天現寺橋】
「っ……ん」
耳に柔らかい感触が触れる。
人の温かさはない。
だが、ざらりとした独特の刺激にふと息が漏れた。
簡易ベッドに押し倒され、キスをせがまれる。
そこから見上げた天井は低い。
首筋に顔が埋められる。
音を立てながら、肌を強く吸い上げられた。
【天現寺橋】
「……ッ、ぁ……ん」
荒い息がかかり、喉がひくりと蠢く。
何の抵抗も見せず――むしろ待ちわびている
天現寺橋の体をバサラの手がまさぐった。
【バサラ】
「んっ……ふふ。
ここ、もう熱いですね」
【天現寺橋】
「……ぁっ……ゃ、め……!」
下着越しに熱を撫でられ、体がぴくりと跳ねる。
天現寺橋は仕方なく瞼を閉じると、
バサラの息遣いが、より鮮明に感じられた。
何度も首に口付けられる。
その度に甘くとろけるような心地よさが、
沁み渡っていくような気がした。
【バサラ】
「センセイ、いつもより気持ちよさそう」
瞼の上に柔らかい唇の感触。
誘われるように、視界を開く。
飛び込む異様な景色の端で、メイド服がふわりと揺れる。
もちろん、バサラが身に纏っているものだ。
果物でもなく、花でもなく、官能的な甘い香りがする。
意識して空気を吸い込むと、頭がくらくらした。
フリルから覗いたバサラの肌が厭らしく濡れている。
二人分の体重がかかったベッドは、
バサラが動くたびに、軋みを響かせた。
可愛いらしいリボンがなびく下着を覗かせ、
天現寺橋に腰を押し付ける。
【バサラ】
「……センセイのここ、触っていいですか?」
【天現寺橋】
「あっ……ん、……」
熱に触れるか触れないかの太腿の付け根を撫でられる。
本来こんな店なら、男役――つまり客に見える天現寺橋が
バサラの上に居て、主導権を持つべきだろう。
女装しているのはバサラのはずだが、
天現寺橋が襲われている状況とは。
【天現寺橋】
(いくら囮だとはいえ、やりすぎじゃないか……?)
沢山のキスを浴びながら、頭の隅でぼんやりと思う。
【バサラ】
「センセイの乳首、触ってないのにもう勃ってますね。
ピンク色で可愛い。ボクが食べてもいい?」
【天現寺橋】
「……いちいち聞くな」
【バサラ】
「だって、聞いてからしないとセンセイ怒るじゃないですか」
着物の合わせ目から曝け出された胸に顔を寄せる。
刺激を待つ桃色の隆起に、
バサラが獣のように舌なめずりした。
犯人を誘き寄せるには、なかなかの熱演だ。
刑事ドラマも偶には役に立つのかもしれない。
今か今かと主人の許しを待つバサラに、
天現寺橋は苦笑を浮かべる。
【天現寺橋】
「今日はいいよ、好きにして」
【バサラ】
「センセイ……!」
目を爛々と輝かせ、バサラは主人の体を抱きしめる。
滴るような艷を帯びた唇が、胸に寄せられた。
【バサラ】
「ボクが舐めたら、溶けちゃうかもしれないですね。ふふふっ」
【天現寺橋】
「妙にきらきらしたシーンを見たんだな? バサラ」
【バサラ】
「センセイの為に、覚えました……」
胸の蕾がひやりとした口内に包まれ、
バサラの体液がしっとりと纏わる。
冷たい唇に柔らかく食まれ、音を立てて吸われる。
【天現寺橋】
「……ぁっ……ん」
バサラはもう片方の胸に手を伸ばし、指先で摘んだ。
親指と人差し指で捏ねるように嬲られ、腰に甘い刺激が走る。
【天現寺橋】
「ん、んっ……バサラ……ッ」
口に含まれている乳首は、
飴玉を転がすように愛撫され、紅く熟れた。
執拗に吸い上げられるたびに、快楽の証が口から溢れる。
【バサラ】
「はっ、……ふ……おいしい……」
胸を舐めているだけなのに、
バサラはすっかり陶酔しきっている。
その頭を軽く押しのけた。
【天現寺橋】
「……仕事中ってこと、忘れるなって……」
【バサラ】
「ふふふ、わかってますよぅ。
でも、センセイの乳首、
美味しいくてたまんないんです……んっ」
【天現寺橋】
「だからっ……ん、……!」
天現寺橋の抵抗も意味なく、
バサラは夢中になって愛撫を続けた。
胸への刺激だけで、下半身は昂ぶる。
布地に擦れるのがもどかしくて、
このまま欲望を吐き出したくなった。
しかし――。
部屋の入口。
カーテンの向こう側で黒い影が微かに動いた気がした。